チャーリーとチョコレート工場

映画「チャーリーとチョコレート工場」を観る。
原作はロアルド・ダールの「チョコレート工場の秘密」(1964)。私が小学生時代に読んだ本の中でも五指に入る、お気に入りの一冊です。その印象が忘れられず、成人してから改めて買って読んだほどのお気に入り。それだけに原作との距離を気にしつつの観賞となりました。
ティム・バートン、ジョニー・デップのコンビらしく、イイ感じにブラックで子供っぽく仕上げられていました。気になる原作との違いはほとんどなく、ウレシイ限り。ただ、エンディングにキチンと落としどころを付けていたので、原作の続編「ガラスのエレベーター宇宙に飛び出す」を彼らが製作することはなさそう。残念です。注文を付けるとすれば、ディープ・ロイ演じる「ウンパ・ルンパ族」のキャラクターが立ち過ぎていた点。扱いが多くなれば主人公を食ってしまうし、少なすぎれば原作を削ることになる。テレビのシーンで、現代アメリカを象徴するテレビ番組「オフラ」を使ったり、某有名SF映画の1シーンを拝借していたのも、ちょっとイタダケナイと感じました。音楽はこのコンビには欠かせないダニー・エルフマンが担当。前半は大好きだけど、後半は少しダレました。
本作とは関係ないけれど、今流通している日本の翻訳書が柳瀬尚紀の翻訳だったことをパンフレットを読んで知りました。彼の翻訳は原文に忠実なことで知られています。フィネガンズ・ウェイクなんかは彼以外には不可能な仕事です。確かに以前の翻訳に直訳的な表現が多いのは事実。柳瀬尚紀が物足りなさを感じて触手を伸ばしたのも納得できます。ところが、パンフによると挿絵が原作のものと違っているのです。同じことは「アリス」のシリーズでも起きています。彼が望んでのことなんだろうか。新たな疑問が湧いてくる。